平成16年9月度 定例議会 一般質問

議席番号29番栗原信司でございます。発言通告に基づきまして市政に
対する一般質問を4点に亘り行って参ります。

1.防災行政について
始めに浅間山の噴火や台風など災害や被害に遭われた方々に対して心よ
りお見舞いを申し上げます。そして、こうした災害がここ春日部市では
発生しないことを祈りつつ、防災行政についてお伺い致します。この問
題は9月1日が防災の日にあたることにちなみまして、災害行政につい
て角度を変えて毎年のようにお伺いしているものです。

1点目に、先月8月22日に豊春小学校を会場にして地区別の防災避難
訓練が行われました。一昨年の9月議会でこういった避難訓練にペット
達も参加させるべきではと、提案をさせて頂いたものを、早速、実施し
」て頂きました。伺うところでは春日部市としては勿論初めての試みで
すが、なんと埼玉としても初めてであり、全国的にも大変珍しい取り組
みとのことでした。執行部のご理解とご配慮に対しまして、動物たちそ
して飼い主達に成り代わりまして、深く感謝を申し上げるものです。

ただ、ほんの少し悲しい事実として、まだ試行と言うこともあり、また、
大きく声かけをしていなかった為に、ペット同行の訓練と言うことを知
らなかった方が多かったり、諸般の都合により朝8時の訓練開始と言う
ことで、間に合わなかったという方も多く、非常に残念だったという声
が聞かれました。

そこで、今回のペット同行の避難訓練の様子を教えて頂きたいと思いま
す。そして、この様に試行として行うことにより何らかの課題も見えて
きたのではないかと思いますので、その辺も教えて頂きたいと思います。

また、今回は保健所や獣医師さんの協力を得て行うことが出来たと伺い
ました。これは来年度以降も継続して実施をして頂きたいと思いますが、
その考えはあるのか,また、その際にも保健所や獣医師さんの協力を得
られるのかお伺い致します。

防災行政に関する2点目として火災情報・防災情報の提供についてお伺
いします。この件は3年前の6月議会で提案したものが、一部取り入れ
られ、防災無線が聞き取れない場合に、平日昼間であれば市役所が、ま
た休日や夜間であれば防災センターに電話を入れることにより防災無線
の内容を教えて頂けるようになりました。大変に、有り難いことです。

まあ、たまたま、電話をかけた時に、話し中だったりすることがあるの
は、かけた人の運が悪かったのかも知れませんが、苦情の声も聞くとこ
ろです。

また、その後の議会で、携帯電話やHPで防災情報や火災情報を載せる
べきではと提案した件も、昨年から本年にかけてHP上に災害情報、火
災情報として開設をして頂きました。これも有り難いことと市民の方か
ら喜びのメールが届いております。しかし、これも残念なことに、ある
意味では当然というか、やむを得ないことですが、市内にいる場合に防
災無線が聞こえたり、消防車のサイレンが聞こえる場合にはパソコンや
携帯電話で、さっと確認が出来る所でありますが、市外などで仕事をし
ていたりする場合など、年老いた父母などを家で留守番をさせている方
々にとっては何かと不憫を感じるものです。

幾度となく提案をさせて頂いておりますが希望者には予め登録して頂き、
メールにて同時発信をすることによって、こういった問題は速やかに解
決出来るのではないかと思うところです。

6月議会での大山議員の一般質問では災害弱者対策として地域ぐるみの
システム作りの提案があり、これに従って地域を限定し試行的に検討し
てみようと言うことになったところではありますが、それはまだ課題も
多く、実施までには多少時間が掛かると思われます。

そこで、と言いますか、こういった火災情報や災害情報をメールで同時
配信すべきでは、と改めて提案をさせて頂きたいと思います。メールの
同時配信そのものはほとんど費用のかかるものではありません。難しい
手間も要りません。職員の方のほんの少しの慣れだけであります。前向
きな答弁を期待するものです。

2回目 防災行政
御答弁を頂きました。改めてお伺いをして参ります。
始めに防災行政関係についてお伺いします。ペットを同行した際にはケ
ージの問題や鳴き声などの課題やペットの非常食の確保など様々な課題
があるようです。一つずつ解決をして頂きたいと願うところであります
が、これらの課題に対する対策についてどういったことを検討して頂け
るのか改めてお伺い致します。

さらに、この避難訓練に関連して災害救助犬についてお伺いします。と
いうのは盲導犬や聴導犬、介助犬など身体に障害を持った方の手助けを
する犬が活躍をしていることは皆様の良く知るところとは思いますが、
災害時には災害救助犬が活躍をすると言うことは広く知られておりませ
ん。極端な話としては存在そのものを知らない場合も多いようです。実
は災害救助犬は警察犬のように特殊な能力を必要とはしません。個別の
犬の適正として合う合わないと言うことはあるようですが、原則として
犬種を問いません。

つまり、各ご家庭で現在飼っている犬そのものが訓練次第で災害救助犬
としての充分な働きができるようです。しかし、話だけではイメージも
つかめないでしょうし、市民の方も理解を出来るものではありませんの
で、こういった避難訓練の場を使ってデモンストレーションを行ったら
いかがかなと思うのですが、執行部の見解をお伺いします。

災害を望むものはいないと思いますが、パニック状態の中にあってネコ
の手も借りたいといっても、実際にはネコでは役に立ちません。訓練を
受けた犬達の活躍によって、少しでも被害者を最小限にくい止める対策
を取るべきではと考えます。そこで市民の皆様の理解や協力を得るため
にも災害救助犬のデモンストレーションを行ったらいかがでしょうか。
市として、この辺の取り組みをが出来ないものか、訓練の場を提供出来
る街に出来ないものか、市の考えをお伺いします。

もう一点は、メールの件ですがこれはまさにある意味では御答弁の通り
で災害時には控えることも必要であるし、携帯各社の災害伝言板などを
利用することが一番良いのかなと思うところです。しかし、また反面、
災害の発生等についてはいち早くマスコミ等のニュースでも状況は把握
出来ますが、火災情報などのスポット的なローカルな話題については取
り上げてはくれませんので、まさにこういった火災など限定する情報に
ついては携帯メール等を活用して欲しいと思いますが、理解して頂けな
いものでしょうか。重ねてお伺いします。


3回目
パニック状態の中で警察や消防の手が回らない場合のために災害救助犬
が役に立つわけです。火災等であれば被害に遭うのは1軒2軒という事
ですが、災害が発生した場合には、地域住民の連係プレーが全てになり
ます。そして、その為の災害避難訓練だと思いますので、まさに普段の
訓練が必要であり、かといって全市的に一斉に訓練は出来ませんので、
機会があるごとにこういう事が犬達には出来ると言うことを地域住民の
皆さんに示すことが大事ではないのかなと思いますがいかがでしょうか。

実は、昨年1年間でも災害救助犬の公開訓練は全国27会場で行われて
おります。ここ埼玉でも狭山市坂戸市さいたま市入間市では地域防災訓
練に参加しております。そう言う意味でも改めて御答弁を求めます。



2.地域通貨
大きく2点目に地域通貨の導入についてお伺いします。
これは一昨年9月に取り上げたボランティア貯金と少し関連するところ
です。その際の相談者からは、「お金が欲しくて活動をしているわけで
はないけれども、介護制度の導入と狭間に立ち、行動が不自由になって
いることもあり、ボランティア貯金の導入は出来ないものか」という相
談を受けての質問をさせて頂きました。しかし当時は時期尚早と言いま
しょうか、先進の街でも試行錯誤を重ねている段階ということもあり、
あまり良い答弁は頂けませんでした。

しかし、あれから2年間が経過し、その間、全国的にも理解の輪が広ま
り、その普及は大変に目を見張るものがあります。この8月10日現在
で全国的には464を越える団体が取り組みを始めたようです。しかも
地域住民からも好評と言うこともあり、その対象サービスの内容も介護
の手助けに始まり、高齢者の話し相手から将棋の相手など、実に多岐に
亘ってきております。

この地域通貨の特徴は、@モノやサービス交換の道具になります。但し、
通貨と言っても利子はつきません。A特定の地域内だけでの運用であっ
て、モノやサービスが地域内を循環するイメージのものです。Bいつで
も、だれでも、自由に使う事ができる、などがあげられます。

お金では買えない人の善意や、現金を支払わないとちょっぴり頼みにく
いことでも、地域通貨を介在することによりすっと出来てしまう、元気
が出る、そんな不思議な力を内在している地域通貨は、住民同士の交流
を深める機会になったり、ボランティア意識を高揚させたり、街を活性
化させるなどの手段にもなります。そう言った意味で、市としての取り
組みについてお伺いします。


2回目 地域通貨
既に御存知の方も多いとは思いますが、あえていくつかの使用例を紹介
させて頂きます。
●熊本県小国町は、特定の区域だけで通用する地域通貨「杉っ子」を発
行しています。地域住民間の助け合いが目的と聞くところです。単位は
「ゆう」。1「ゆう」は50円程度に相当します。有効期限は発行から
1年。留守番やおもちゃの修理など各種サービスに利用できるものです。
「杉っ子」は、商工会などで構成する運営会のサポート会員になり、年
会費1000円を払ったり、福祉施設でボランティア活動を行うことな
どで入手できるものです。サービス内容を掲載したカタログから利用し
たい項目を選び、サービス提供者に連絡する仕組みです。

●北海道黒松内町の町民有志は、会員間でサービスのやりとりをする際
の支払い手段となる地域通貨を導入しました。通貨単位は「ブナーン」。
町のシンボルのブナにあやかり、成長して枝葉が伸びるよう助け合いの
ネットワークを町内全体に広げる意味が込められているそうです。「ブ
ナーン」は、小さなことでも助け合える地域の再生を目指す町民有志が
設立した会が流通させているそうです。通貨は100ブナーンと100
0ブナーンの2種類。当面は55人の会員でスタートし、自分の提供で
きるサービス内容と料金、連絡先を登録しているそうです。これまでに
登録されたサービスは、除雪や草刈り、犬の散歩、将棋の相手、競馬の
予想など約60項目となっているようです。

●東京では高田馬場でアトム券などが始まっています。住民の方からは
好評と伺うところです。

そう言う意味では、春日部市では福祉公社などと連携をとりつつファミ
リーサポートセンターを運営していたり、放課後児童クラブを運営して
おりますが、こういった会員相互の利用や放課後児童クラブの定員の関
係で入所出来ない場合の4年生以上の児童生徒の預かり、介護保険制度
の狭間でボランティア活動をしている方達などを対象にしたり、また、
地域を特定してでも試行することは出来ないものか、いかがでしょうか。
時代はまさに民の時代です。こうした思いの元に行政の立場からしっか
りと側面支援を出来ないものか改めてお伺いします。


※最後に一つの先進事例を紹介します。
これ自体は次回の機会に回したいと思いますが、地域通貨に関連して、
神奈川県大和市では地域通貨をICカードに組み込み利用しております。
ICカード自体の普及は人口21万6千人に対して6万8千人、人口の
約4割のかたが保有しています。春日部市と同規模の街で、約4割の住
民がこのICカードを保有し、健康保険証として利用したり、公共施設
の申し込みや商店街の買い物に利用するなど、とても有効に活用してい
ます。街にはこのICカードが使えるようにICカードの読みとり機を
1000台ほど普及させ、行政とのタイアップでとても素晴らしい取り
組みをしています。



3.地域防犯活動
大きく3点目に地域における防犯運動に関連してお伺いします。
ここ数年全国的に様々な事件が起きていることや、ここ春日部市内でも
強盗事件やピッキングなど不愉快な事件が多発しております。その対策
として市民の皆さんは、自らの手で我が町を守ろうと立ち上がり、PT
Aとか町内会とか住民の皆さんが、より積極的に防犯活動を展開して頂
いております。住民の皆さんはそれぞれ所属する組織の予算の範囲内で
腕章やパネルや回覧板やチラシなどをつくって努力をしてくれています。
しかし、町内会やPTAなど地域の枠を越えたボランティアの場合の取
り組みでは、チラシ1枚を作成したり配布したりするのに経費がありま
せん。そこで、市としてこういった運動の支援は出来ないものか、費用
に関する補助政策についてお伺いします。

また、地域防犯運動に関する2点目として、防犯マニュアル作成のため
の手順書を作成しては頂けないでしょうか。それぞれの住環境の違いや
背景、歴史などの違いから学校や地域では独自に作成しているようです。
それはそれとして良いのですが、折角取り組むボランティア運動でもあ
ります。少しでも危険、被害が無いように、そして少しでも長続きが出
来るように、マニュアルの中に漏れがないように、注意すべき点などを
織り込めるような、市としての側面支援策を講じるべきではないかと思
いますが、いかがでしょうか。少ない予算で大きな行財政効果を考える
と、今後こういった運動を支えることはとても大切なことではないかと
思いますが、春日部市の対応についてお願いします。


2回目 地域防犯活動
ボランティア活動と行政との関わり、この辺をもっと整理統合出来ると
大きな行財政改革の波も起こるのではないかと思うところです。様々な
行政の無駄を省くという、その始まりになることを期待するところです。
かかる費用の全額とは言わないまでも50%とか30%とか制限付き条
件付きでも良いのではないかと思いますがいかがでしょうか。
また、どうしたらこういった活動の支援策が図れるのか、どういった支
援策があるのか、この辺について改めてお伺いします。



4.児童虐待防止ネットワークについて
最後に児童虐待防止ネットワークについてお伺いします。現代社会が何
となく暗いせいでしょうか、親たち、大人達が育児に自信をなくしてし
まったり、職場でのストレスを子ども達や弱いものに向けるという、い
わゆる児童虐待事件が後を絶ちません。児童虐待防止法の制定と中川議
員の議会での発言などから春日部市としては平成12年に児童虐待防止
ネットワークの設置が図られたと伺うところですがこの効果はどうなの
か、設置前と設置後とうまく行ったとか、効果が上がったという実例が
あれば紹介して頂きたいと思います。

他市町村でも同様のシステムがあるのに悲劇が起きているようですし、
春日部市ではいかがでしょうか。このシステムがうまく機能しているの
かどうかお伺いしたいと思います。

つい最近も、知人の友人から、近所で児童虐待が行われているような気
がするがどうしたらいいのかという相談事がありました。もしかして、
このシステムに何か問題があるのか、ただ単純に、市民の皆さんへ周知
されていないだけなのか、この辺の取り組みも併せてお伺いします。


2回目 児童虐待防止ネットワークについて
重ねてお伺いしたいのは、親が子育てに責任を持つことは当然のことと
して、その上で地域社会が子育てを支援していくことは少子化時代だか
らこそ大事なことであるし、現実問題として、子どもや子育てをする親
たちは、地域の連携の希薄化、核家族化などによって、地域における社
会の構成員の一員とは思えないような気もします。「子どもは社会の宝」
との意識を取り戻し、「地域の子育て力」を向上させることが何よりも
大切なのかなと。そして、世代を超えて「児童虐待を社会からなくそう」
という意識を育てることが大切ではないのかなと思います。

こうした中、春日部市として児童虐待防止ネットワークが効果を発揮し
ていることは大変に素晴らしいことと思います。しかしながら、未だに
児童虐待と言う事件が世間を賑わしているという事実などを考えても、
発生予防に始まって、虐待された子どもの自立に至るまで、すべての関
係する機関による切れ目のない、というか境目のない支援体制の整備、
充実と言うものが、この児童虐待防止に関する対策の課題の一つと思え
てなりません。春日部におけるこの支援体制はどうなっているのか、お
伺いします。

つい先週、飯能市でも悲しい事件が起きました。仕事がない鬱憤をわず
か1才の子に向けるなんて異常事態です。こういう悲しい事件を二度と
起こさないためにも児童虐待防止ネットワークの更なる充実を望むとこ
ろです。

また、記憶に新しいところのものに、昨年、大阪で発生した事件に、中
学3年の長男に一年半にわたりほとんど食事を与えず暴行などの虐待を
加えたとして、実父と、同居中の内縁関係にある女の2人を殺人未遂容
疑で逮捕したと言う事件があります。昨年11月に病院に収容された長
男は餓死寸前で、2002年に41キロあった体重は24キロしかなか
った。現在も脳の障害などで意識不明の重体だそうです。

事件は、両容疑者の119番通報で駆け付けた救急隊員が、虐待を疑っ
て警察に通報したことから発覚しました。学校や児童相談所は虐待の可
能性を認識しながら中学生を救うことができなかったわけです。この中
学生は02年9月ごろ急にやせ始め、担任教諭が相談を促したが打ち明
けなかった。

不登校になったため家庭訪問を繰り返したが、容疑者に反発されて途絶
え、虐待の事実を確認できなかった。学校は03年4月に初めて児童相
談所に「虐待の疑いがある」と口頭で伝えたが正式な通告ではなかった。

連絡を受けた児童相談所も適切な対応をとれなかった。容疑者から聞き
取り調査を2回行ったが、「元気で出歩いている」などの説明を信じ、
児童虐待防止法で認められている立ち入り調査をしなかった。詰まると
ころは一人の子どもの危険信号に対して“かかわりきる”大人がいなか
ったことが悔やまれる事件です。

この事件を受けて全国児童相談所長会が他の事件を調べた結果、児童相
談所が立ち入り調査をしながら安否を確認できなかったケースが1割以
上あったということです。児童相談所の職員が保護者から脅されたり、
暴行されたりする例も多数に上っており、児童相談所の緊急時の介入に
ついて再検討が必要との見解を示しているところですが、春日部市では
こういう事はなかったのかどうかお伺いします。